ノックビン(ジスルフィラム錠) アルコール依存症治療薬

アルコール依存症治療薬レグテクトから抗酒剤ノックビン(ジスルフィラム錠)に変更。強制的に酒を飲めない体質にする訳だから、抑止力の差は歴然。

企業におけるアルコール依存症対策

      2016/12/10

企業におけるアルコール依存症対策

「国民衛生の動向」によると、日本人のアルコール消費量はほぼ戦後一貫して増え続けており、先進諸国でのアルコール消費量が減少傾向にあるのとは対照的になっています。アルコール消費量にほぼ比例してアルコール依存症者数も増加すると言われており、肝臓疾患を始めとする医学的問題のみならず、飲酒による事故や家庭内不和・暴力・犯罪など、アルコール関連問題による社会的・経済的損失は、年間に六兆六〇〇〇億円以上にも及ぶとも推計されています。
日本の企業ではアルコールは接待手段や人間関係の潤滑油としても用いられ、必要不可欠と考えられている面もありますが、ある調査によると企業内の男性社員の20%以上が問題飲酒者であるという報告や、男性社員の17%以上がアルコール依存症の疑いが強いという報告もあり、これは看過できない問題と言えるでしょう。国民栄養調査では「男性では20代後半から30代にかけて飲酒頻度が増加する」という結果が出ているなど、最近は特に若年層の飲酒量の伸びが問題となっています。
アルコールが原因となって引き起こされる問題は、企業にとっても大小さまざまな損害につながっています。勤怠の問題や作業ミス、事故、ケガ、職場の雰囲気の悪化、生産性の低下、けんか、肝臓病などで入退院を繰り返す長期欠勤の問題などがそうでしょう。しかし、単なる勤務不良者や酒癖の悪い人、肝臓病・糖尿病などで繰り返し治療を受けている人として片づけられてしまい、アルコール依存症として組織的に対策が取られていない場合も多いと言えます。
アルコール問題は、早い段階で専門治療に結びつけることによって、企業の経済的損失を最小限に抑えることができます。そしてアメリカではそのための援助システム(EAP:Employee Assistance Frogram)が成果をあげ、普及しているのです。

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アメリカのアルコール依存症対策とEAP

アメリカでは一九世紀において、例えばアルコール飲料代を差し引いて賃金が支払われていた例などがあり、職場での飲酒は黙認されるどころか、実質的に使用者が従業員にアルコール飲料を売りつけることすらあったようです。アルコールを飲みながら仕事をするのは日常的な姿であり、これが「労働生産性の阻害要因」にならないはずはなく、アルコール依存症者は、労働力の大きな損失につながっていました。
1880年から1920年にかけて農場経営者や雇用主により、アルコールを排除する動きが見られたのですが、労働者から強力な反対に会いました。禁漕法を成立させた宗教的、道徳的風潮の高まり、消費の増加による労働者の生産性を高める必要性からも、当たり前の習慣となっていた飲酒を職場の中から取り除くさまざまな試みが行われたのですが、職場からアルコールとアルコール問題を排除することは、なかなかうまくいかなかったようです。
1935年6月10日、ビルとボブによって、その後、世界最大の自助グループに発展するAA(Alcoholics Anonyrnous)が誕生しました。ある意味で、どうしようもなかったアルコール依存症者が、AAによって回復するようになったのです。AAの誕生は、その後の職域におけるアルコール問題対策にも多大な影響を及ぼしています。
AAには、回一のステップという回復のための中核とも言えるプロセスがあります。この中に「メッセージ」というものがあるのですが、アルコール依存症の回復者は自分の回復体験を他の人にも伝えていくことが重要とされています。1940年前後よりAAによる回復者によって、自分の体験を活かして企業内のアルコール依存症者を早期にAAにつなげる試み(OAP)が広がっていきました。
1950年代になるとOAPは組合からのバックアップも受け、多くの企業や政府機関によって公式的に施行されるようになり、主にラインマネージャーに対してアルコール依存症早期発見のための教育なども行われていきました。しかしラインマネージャーによる部下のアルコール依存症発見は、病気の判別の難しさと同時にマネージャー自身のアルコール問題もあって、実際は難しい側面が大きかったようです。そこで、マネージャーはアルコール依存症を診断する役割でなく、部下の業務パフォーマンスに注目して介入していくという視点が重要視されるようになっていったのです。これがEAPの萌芽と言えます。
EAPは、相談対象をアルコール依存症者に限らず、うつ病や法律問題など、業務パフォーマンスに影響を与える他の広範囲の問題も含める形で発展してきました。業務パフォーマンスの問題に注目することにより、スティグマの影響によってEAPへのアクセスに抵抗を示していたアルコール依存症者からもアクセスが増え、同時に管理職による介入も容易になったのです。
アルコール問題が疑われる社員に対して、「君はアルコール依存症が疑われるからEAPに相談をしてみたらどうだ」と伝えると、病気を否認されて拒否される場合が多いのですが、病気に焦点を当てるのでなく業務パフォーマンスに着目して、「君はパフォーマンスが落ちているので、EAPに相談をしてみたらどうだ」と伝えることで、EAPは抵抗を受けにくくなったと言えるでしょう。結果として、ラベリングされる前のアルコール依存症者が相談につながるようになったのです。
1980年代にはEAPは急速に広がりを見せ、職場からアルコールや薬物を排除する法律(職場薬物汚染防止法)の実践プログラムに活用されるなど、近年ではEAPは非常にポピュラーなプログラムとなっており、1997年のフォーチュン誌に記載されている上位500社の内、95%以上の企業がEAP導入をするまでに及んでいます。

日本の企業におけるアルコール依存症対策

日本におけるアルコール依存症対策の実施状況としては、ある自治体が一四四六の企業を対象に行った調査研究があります。その結果によると、アルコール依存症あるいはアルコール問題対策を実施している企業は10・5%とごく僅かであり、86・2%の企業は対策を行っていませんでした。ちなみに取り組んでいる企業内での取り組み内容↓

企業内での取り組み内容
問題飲酒者に対する具体的指導(21.0%)
パンフレット・ビデオを利用した教育啓発(14.7%)
購演、研修等の実施(14.0%)
健康診断結果と飲酒との関連の検討(11.2%)
会社の行事で飲酒を控えた(4.2%)
大企業など、職場内に産業保健スタッフが常駐している場合には、アルコール関連問題についての対策が実施されている企業も多くなってくると言えるでしょう。その際のスタッフのアルコール問題への関与の仕方としては、廣によると大きく四つに分類されています。

アルコール問題への関与の仕方
①生活習慣病保健指導型
飲酒をもっぱら生活習慣病との関連でとらえ、高脂血症や高血圧などの改善を目的とした節酒指導を行う。
②アルコール性健康障害保健指導型
生活習慣病保健指導型よりは、幅広い健康情報をもとにして健康管理を実施する。
③アルコール関連問題介入型
問題事例に対して介入を行い、職場からの情報を敏感に吸い上げるような、職場に密着した活動を行う。
④アルコール関連問題予防型
職場の飲酒風土の改善に向けた啓発教育など、健康問題に限定しない飲酒問題の予防活動を行う。
ただ、企業内に常駐して産業保健スタッフがいても、健診業務などで忙しく、アルコール関連問題まで手が回らなかったり、アルコール依存症に詳しいスタッフが不在だったりする場合も多いと言えます。従業員数が万単位の大きな企業で、複数の産業保健スタッフがいたり常勤の精神科産業医がいるような場合でなければ、アルコール関連問題に対して高レベルの対策を行うことは難しいと言えるでしょう。
企業における社員のメンタルヘルス対策としては、特にうつ病をターゲットにおいた対策が進んでいると言えます。確かに、職場の中でもっとも頻繁に発生するのはうつ病であり、特にうつ病が関連する社員の自殺問題については、企業は最も危機感をもって対策を取り始めているところです。
ただ、アルコール依存症者に自殺が多く、その傾向が促進していることは、あまり知られていない事実と言えます。大量飲酒がうつ状態を引き起こすことも多くあるのです。例えば、アルコール依存症が業務に起因すると判断された場合、労災が認定されると同時に、企業側の安全配慮義務が問われる傾向が近年高まっています。アルコール依存症は個人の問題に起因されがちですが、今後は企業側においても積極的に対策を行っていく必要性が高いと言えるでしょう。
先ほどの自治体による調査では、七八・八%の企業がアルコール関連問題に「遭遇したことがない」と答えています。この中には、回答した担当者がアルコール依存症についてよく知らないという実状もあるのではないかと思われます。企業内におけるアルコール関連問題対策は、まだまだアルコール依存症という病気に関して啓蒙を進めていく段階にありますが、今後は中小企業においても活動を推進していくと同時に、企業におけるアルコール依存症対応マニュアル作成など、体系的な対策を行っていく必要があると言えます。

アルコール問題への啓蒙活動

・問題飲酒行動に関するスクリーニングテストなどのセルフチェック法の普及
・アルコール依存症の兆候や病気についての広報(パンフレット作成、ポスター掲示、研修会開催)
・問題を感じている本人や家族が相談できる場の確保とその情報提供(保健所、専門クリニックなど)
・断酒会やAAなどの自助グループに関する情報収集と発信
・依存症者にアルコールを勧めないなど職場内の理解と意識の向上

 

その際、社内で対策を行っていくことが、実際問題として労力的にもコスト面でも難しい場合は、アウトソーシングによるEAPが日本においても大きな役割を果たしていくものと思われます。

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