ノックビン(ジスルフィラム錠) アルコール依存症治療薬

アルコール依存症治療薬レグテクトから抗酒剤ノックビン(ジスルフィラム錠)に変更。強制的に酒を飲めない体質にする訳だから、抑止力の差は歴然。

医療機関での集団療法

      2016/12/10

医療機関での集団療法

入院患者への集団療法

入院における集団療法
入院の大きな目標は「しらふでの体験」です。東京アルコール医療総合センター(以下TAC)では、入院を「より社会生活に近い状態」の中で行うこととし集団を形成していきます。入院期間は、三ケ月間が基本で教育入院と位置づけられ、各時期に課題と目標があり、それをARP(アルコール・リハビリテーション・プログラム)を中心に展開していくこととなります。ARPは、作業療法、レクリエーション、グループミーティング、勉強会、自治会活動などを指し、そのプログラムは集団で行われています。ミーティングを主とした言語的なプログラムとレクリエーションなどを主とした活動的なプログラムを、課題と目標にそって行っていきます。

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入院初期
入院初期の課題と目標はまず「入院生活を受け入れること」「不安や苦痛の軽減」「問題点の把握」「人間関係づくり」から始まります。

しかしアルコール依存症で入院をする多くの人が、入院に至る経過の中で、人間関係の歪みや破綻、社会生活からの逸脱を経験し、自己嫌悪や孤立感、離脱期の不安、また被害感さえ生じています。入院直後は身体的にも衰弱しているケースが多く、まず心身の回復に焦点を当てます。TACでは個別担当制(継続ケアシステム)をとっており、各担当者が個人に目を向け個別に関わりをもち、ケアに努めていきます。
精神的治療と平行して、身体的治療(検査を含む)も行うのですが、TACでは大学病院より消化器肝臓内科の医師が非常勤ではあるが勤務しており、身体的治療を受けもっています。おおむね二週間を経たのち、心身の回復をまって集団療法に移行していきます。

集団療法の意義
アルコール依存症における集団療法は、対人相互作用による人間関係の改善、問題行動の解決を目指すこととなります。しかし先にも述べたように、アルコール依存症は社会的な障害が症状の大半を占めていると言っても過言ではありません。飲酒をしていることで周囲の人たちとの間にさまざまな問題を引き起こしているのです。しかし、そうした問題を認めなかったり、責任転嫁をしたりし、自分自身の問題として受け止めず避けようとしていきます。それでも心の底では漠然とですが問題自体を把握・理解はしているのです。しかし、素直に認めることができないのです。これがいわゆる「否認」の一つの要素でもあります。実質的な治療・回復の始まりは、否認が解けてからと言われていますが、この否認は強固なもので入院したからといってそう簡単には解けるものではありません。しかし集団の場に身を置くことで、この否認を解くきっかけとなる人がいます。

グループミーティング
入院患者の集団にはいろいろな考え方をもった人たちが参加しています。グループミーティングでは入院初期で否認も強固な人、入院中期で病気そのものを認め始め否認が薄らいできた人、否認自体を解き退院間近な人、退院間近だがなかなか病気と認められない人などさまざまな状況でグループミーティングに参加しているわけで必然的にさまざまな意見が飛び交います。長年の飲酒習慣の中でしらふでアルコールに関して、他人の意見に耳を貸すようなことがあった入院患者は、おそらくほとんどいないでしょう。グループミーティングではしらふで他人の話を聞き、自分自身のことを語っていく中で、違う見方や考え方に触れ、自分の飲酒問題に当てはめたり、相違点を探したりします。「なるほど自分と同じだ」「いや、俺はそこまでひどくない」と、自分なりの判断をします。

【事例】
再入院のTさんは、前回の入院でARPへの参加はあったのですが、気の合わない人との接触を避け、グループミーティングもパスのみで、単独で行動することが多くありました。「人前で話をするのが苦手」「一人でなんとかする」などが理由でした。退院後はすぐに復職したのですが、約三ケ月後には仕事・人間関係によるストレスから再飲酒、外来通院も自助グループにも通わず1人で悩み続けていたのです。入院時の相談で私は、「一人ではやめられないでしょう」と伝え、まずグループミーティングで発言することを勧めました。始めは渋々の参加で、発言もそこそこでしたが次第に慣れてきて1カ月が過ぎた頃には「ミーティングは勉強になりますね」と表情にも変化が見えてきました。「人の意見に耳を傾けること」「自分の話ができること」などを実践し集団から気づきを得たのです。

レクリエーションなどの集団
ミーティング以外のプログラムでも気づきを得る場面があります。身体的にはもちろんですが、体力的にも多くの要素があります。体力測定を行うと、多くの人が実年齢以上の体力年齢である結果に、測定評価の時間では驚きの声が絶えません。レクリエーションの運動プログラムでは、気持ちはハッスルしているのですが体がついていかず転倒する場面をよく目にします。「情けねぇな」「こんなはずじゃ」と参加者は口をそろえて言います。また自治会は入院中の生活場面における活動ですが、しらふの集団で自主性や協調性を考えながら生活していかなくてはなりません。「十人十色」、人それぞれの背景はありますが、飲酒が及ぼした影響を体感していくのです。しかし同じ疾病で入院をしているということ、同じ治療の場にいるということから、この時期の目標とされる、現実を直視し自己洞察を深める機会となります。入院治療は、「受け入れてもらえる場」「共感できる場」であり、今までに体験したことのない場なのです。
気づきからの展開
退院が近づくと「なぜ断酒継続をしなくてはならないのか」が大きな課題となってきます。集団療法の中で得た気づきをいかに次の課題と目標につなげていくかが重要となっていきます。一人では、どうにもこうにもならなかった現実を認めること、同じ目標に向かっている集団があることを自分自身で確認し、多くの人は積極的に治療に取り組む姿勢を整えていきます。自助グループは、断酒間もない人から数十年の断酒者、家族などいろいろな人が参加しています。入院治療とは違った角度からさまざまな情報を得る機会となり、セルフケアの必要性を学んでいくことになります。
セルフケアとは、自立に向けた自己対処であり、最終的には、「断酒をどう受け入れるか」に集約されます。そして「治療継続はどうするのか」「自助グループはどのくらい参加していくのか」「仕事はどうするのか」など多くの問題と取り組まなければなりません。それゆえに「転ばぬ先の杖」「石橋をたたいて渡る」と言うように先を見据えた取り組みが重要となっていきます。集団という治療の場から気づきと変化をもたらし、それを実践し継続してこそ入院治療に意義があったと実感できるのです。

家族教室
入院治療は約3ケ月という限られた期間で行われます。自分自身が変わることは、もちろん大切ですが、周囲の協力も重要となってきます。アルコール依存症は、周囲を巻き込む病と言われています。特に家族がいる場合はその家族も、今までの生き方の転換を求められます。TACでは週に一度家族教室を開催しています。この家族教室も、集団を形成しています。講義形式では、アルコール依存症はどういう病気であるかを学習してもらい、ミーティング形式では、同じ体験や悩みを抱えた人たちに出会うことで、「酒で悩んでいるのは自分だけではない」と共感を覚え、家族自身も回復していかなくてはならないのです。

仲間とともに
アルコール依存症の入院治療は集団が基本となり展開していきます。一人より二人、二人より三人と輪が大きくなればなるほど問題解決への手がかりは増えていきます。「朱に交われば赤くなる」。飲んでいた仲間の中に戻るのではなく、飲まない仲間を作ることで、断酒の意識をもち続けられるのです。回復した人が口をそろえて言います。「一人でアルコールはやめられない」。実感のこもった言葉です。
入院治療は回復へのスタートだと思います。回復とは生き方そのものを見直し、変えていかなくてはなりません。「飲む、飲まないは自分が決めること」。なぜなら手にして口に運ぶのは自分自身だからです。
最終的には「本人次第」という言葉につきるのではないでしようか。

通院患者への集団療法

クリニックにおけるアルコール依存症の治療の中で、集団療法は特に効果のあるものです。慈友クリニックには集団療法のプログラムとして、「ミーティング」と「デイケア」があります。しかし、私たちは集団療法を決まった時間に行われる特定のプログラムとしてだけではとらえていません。アルコールをやめていこうとする集団の力は、クリニック全体に行き渡っているもので、これを広い意味で集団療法ととらえています。
また、集団療法をどのように利用するかについて、クリニックの治療は患者に任されている部分が大きいと言えます。これは、アルコールに頼らないしらふの生活を自分の力で営んでもらうためです。アルコール依存症の患者は、もともとその力をもっていますし、クリニックの場が患者を支え、力を引き出してくれるものと思っています。

ミーティングの方法
慈友クリニックのミーティングは、月曜日から土曜日までの朝10時からと、週に三回、夜六時からそれぞれ一時間行われています。午前のミーティングは4つのグループに分かれて、それぞれ10人から20人くらいの構成になっています。年齢は40〜60歳代が中心です。男性が多く、女性は1グループに2、3人です。そのために、特に女性患者のため、週に一回女性だけのミーティングも行っています。夜のミーティングは、仕事帰りの方が多いのが特徴です。
ちなみに、ある一週間の朝のミーティングの統計によると、一週間の総参加人数が110名で、参加回数は一回から六回までだいたいまんべんなく、平均すると三回から四回の間くらいでした。
グループはスタッフが一名入り進行します。進行方法はスタッフやグループによって多少異なってきますが、基本的には1人ずつ順番に自分のことを語ってもらい、他の人が話をしているときはそれを聴くという方法で進めます。
テーマを決める場合と決めない場合があります。例えば「どうしたらアルコールはやめられるか」や「節酒」というようにアルコールに間したテーマの日もあれば、「素直」「大切にしているもの」など直接アルコールに関わらないテーマの日もあります。あまりアルコールのことのみにこだわることなく話すことができるのです。あるとき「執着」というテーマでミーティングを進めていると、アルコールの話がほとんど出ないので、そのことをあとで話したら、「当たり前だよ。当たり前過ぎて話さないんだよ。みんなそのことでここに来ているのだから」と言われ、どっと場が沸いたことがありました。テーマに関わらずメンバーは常にアルコールについて、しらふの生活について意識してミーティングに参加しているのだと思います。

ミーティングヘの抵抗感
初めての方に、ミーティングヘの参加を勧めると「人前で話すのはきらい」とか「逆に飲みたくなってしまう」と参加を嫌がる方が少なからずいます。しかし、人前で自分のことを話すことに抵抗がない人はいないでしょうし、しらふで行うことこそ治療であることを伝えます。二〜三年ミーティングに通い続けても、前の人が話し始めると心臓がどきどきして話が頭に入らなくなり、自分が話していても何を話しているかわからないくらい緊張するという人もいます。それでいいのです。面白い話をする必要はないし、理路整然と話す必要もない。とにかく、しらふで、不得意なことをやってみるのが大切なのです。しかし、話すことは強制しません。「話すのはどうも……」という患者には「話すことがなければ、座っているだけでもいいですし、自分の番がきたらパスしてもいいです」と伝えます。
参加すると、またいろいろな抵抗を感じる患者がいます。「なんでこんな恥さらしなことを話すのか」「俺は、あんなにひどくない」「泣き言ばかり聞きたくない」「もう依存症のことはわかった」「もう自分は飲んでいないのだから出ない」などです。また、アルコールを飲んでいる人に目がいってしまい、「みんな飲んでいるじやないか」という人もいます。しかし、このように感じることは極めて自然なのです。自分が入りたい集団ならともかく、できるなら入りたくない集団に入っていくわけですから、なるべく参加したくないと思うのは当然でしょう。長年アルコールを飲んできた生活の習慣を変えていこうとするのですから、始めはもとの習慣に戻ろうとする力が働いて、抵抗を感じるのも当たり前です。そういうときは、ミーティングに参加しまいとするいろいろな思いが頭に浮かんできますが、それは当然なものとして受け
入れながら、とにかくミーティングに参加し続けることを勧めます。

安心感
アルコールをやめようとしている患者の多くは、アルコールをやめていく自信などありませんし、飲まない自分が想像できません。だから、グループに参加して元気そうな周りの人を見ると、「本当にみなさん依存症なのですか?」と真面目に聞く人もいます。中には、「皆飲んでいるに違いない」と思いこむ患者もいます。ミーティング中にそういった話がされると、他の患者からは「自分も初めはそう思った」とか、いろいろな体験が語られるのです。そういう話を聞くことで、自信のなかった人も「やめられるのではないか」と希望をもてるわけです。
ミーティングに慣れてくると、周りの人の話が素直に聞けるようになります。今までは、「俺はこいつらとは違う」「こんなにひどくはない」と自分との違いに注目していた人も、同じであることを感じるようになります。人の話を聞いて自分の思いや経験を重ねるようになるのです。次第にこわばっていた顔にも笑顔が見えるようになります。大体同じグループのメンバーは固定化(座る位置までだいたい決まっている)されているので、通い続けることで、ついには同じ仲間の顔を見るだけでほっとするようになり、「通って来るのが楽しい」「ゆったりとした気持ちで居られる」とよく患者は言います。ミーティング中に寝てしまう人もいますが、周りの目は温かく、「ゆっくり寝かしてあげなよ、ここでしかこうやって寝られないんだよ」という声もあがります。グループは安心できる場なのです。
グループは感じていることを正直に話してもいい場です。例えば、飲みたい気持ちがあれば、「飲みたくてしょうがない」と言えばいいですし、そう感じるのが自然なのですからそれを否定も批判もしません。
1人が「飲みたい」と言えば、周りはその発言に反応して「私も、毎日飲みたいと思っています」などと語られることも多くあります。グループでは、こうした生活の場で話せば問題になるであろうことでも自由に語れる場なのです。

集団療法の場としてのクリニック

ミーティングの前後にも患者の間ではいろいろな話がされているらしく、そういう気張らない場での話が好きだという方もいます。プログラムとしての集団療法は一時間で終わりますが、アルコールをやめていこうとする集団の力はクリニック全体に行き渡っています。だから、ミーティングの前後の時間はもちろん、朝クリニックのドアが開く前に並んでいるときにも診察や処方を待つ待合室にいても、患者同士の何気ない会話の中でアルコールをやめていこうとする集団の力が働いているのです。私たちはクリニック全体が広い意味の集団療法の場だととらえています。

デイケア
デイケアは月曜日から金曜日の午前10時から午後四時まで行っています。現在のところ登録されているメンバーは60人くらいで、一日の参加はだいたい三〇人から40人くらいです(大規模デイケアで、一日の定員は四一名)。利用のペースは基本的には本人に任されていますが、週に三回から四回の方が多いようです。利用しているのは、現在仕事がない方や休職している方が中心です。
デイケアの特徴は、自由さにあります。一般的にデイケアというと、一日のプログラムがあらかじめ組まれているものを想像すると思いますが、慈友クリニックのデイケアは、朝のミーティング以外に全員参加で行うプログラムは一時間だけです。
それ以外の時間の過し方については、個々に任されています。カラオケをしたり、近くの公園でキャッチボールをしたり、将棋を指したり、陶芸をしたり、寝転んで過ごしている人もいます。最初は、何をしていいか多くの患者は戸惑います。「何をしていいのか」とスタッフに聞いてくる人もいます。そんなときは「ご自身で考えてください。しらふでそのことを考えるのがデイケアです」と答えています。今まで何をするにもまず飲んで考えてきた方が多く、しらふでの生活は本当に久しぶりの方が多いのです。だから、しらふでどう過ごしていいかを考えるのが回復へのまず第一歩になるのです。
このようにクリニックの集団療法は、本人に任されている部分が大きいと言えます。ですから、自由の気楽さはありますが、自ら考え行動し責任を引き受けることが求められる厳しい而もあります。患者は、集団によって支えられ力づけられる中で、そうした厳しさに立ち向かうのです。

 

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