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飲酒とアルコール依存症

      2016/12/10

飲酒とアルコール依存症

Rさんのケースをみてみましょう。
仕事がどんどん難しくなってきたRさんは、毎朝苦痛を感じるようになっていました。仕事のあとの晩酌を長年楽しみにしてきたRさんですが、最近は妻や子どもだちから「お父さん、イライラしているよ」と文句を言われるようになりました。「頼りがいのある以前のお父さんはどこへいってしまったの?」とも言われます。
Rさんの主治医は彼の血圧を測りながら、飲酒についても尋ねました。飲酒でどうして血圧が上がるのかを説明されても半信半疑のRさんでしたが、医師の勧めに従って3週間だけお酒をやめてみることにしたのです。その結果は? Rさんの体調はぐっとよくなりました。

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そこでRさんは「自分の生活からお酒を排除しよう日と決めたのです。家族の支えとかかりつけの医師の助言を受け、思っていたよりもすっと楽にお酒から離れられました。そして、まもなく、家庭生活にも仕事に対しても、以前の活力と意欲を取り戻したのです。飲みすぎは身近な問題でしょうか?
日本の飲酒人口は6,000万人を超え、男性の4割以上、女性の1割近くが習慣的にお酒を飲んでいます。そして、1日あたり日本酒を3合以上(純アルコールで60g以上)飲む人の割合は、男性では5.4%、女性では0,7%となっています(厚生労働省2004年国民健康・栄養調査より)。
こうした多量飲酒音のうち、飲酒をやめられない人は82万人いるとのことです(厚生労働省が2003年に実施した全国調査より)。成人人口でいえば、男性の約2%、女性の約0.1%がアルコール依存症なのです。
さらにアルコール依存症予備軍とされる重篤問題飲酒者は440万人(成人男性のフ.1%、女性の1.3%)にのばるとのことです(『飲酒運転の背景にある「飲酒問題」への介入に関する要望書』より)。
数値からすると少ないようにみえますが、近年、女性の飲酒が頻度・量ともに急激に増えていることにともなって、アルコール依存症になる女性も増えています。
また、飲酒が原因の被害(暴言・暴力・セクハラなど)を受けた人が成人の約3割、つまり男女を合わせて約3,040万人もいることもわかりました。そのために、事件を起こしたりしてその後の人生に影響がでた人は1,400万人にのぼります(「成人の飲酒実態と関連問題の予防について」、厚生労働省)。このようなことからも、飲酒の問題は珍しいことではなく、むしろ身近な問題といえるでしょう。
イギリスでは、全人口6,000万人のうち3,600万人は日常的にお酒を飲みます。そのなかの200万人に関しては、かなりの量を飲むといわれており、さらにその半分の男女は、現在(もしくは過去に)深刻なアルコール問題を抱えていると報告されています。
その数字のうちの20万人は、毎日アルコールに依存する段階まで至っています。今世紀に入ってからは、女性の飲酒もかなり増えました。以前は、主に男性の問題とされていた「アルコール依存症」ですが、最近ではカウンセリングを受ける女性の数も男性と同じくらいに増えています。
この本では、アルコールの効用と害の両方を説明していきます。みなさんが日常の生活においてアルコールと上手につきあっていくための手引きとなることでしょう。アルコールの量をひかえたり、禁酒したりすることが、人生を成功に導く第一歩となるはずです。

キーポイント

■日本では、お酒を飲む人が6,000万人以上いて、男性の4割以上、女性の1割近くが日常的にお酒を飲んでいます。イギリスでは3,600万人が日常的にアルコールを飲んでいます。
■アルコール依存症の人は、日本全国で82万人ほどいます。
■女性の飲酒の増加にともない、アルコール依存症になる女性が増えています。
■イギリスでは、カウンセリングを受ける女性の数は男性と同じくらいです。

飲酒習慣の原因はなんでしょう?

アルコールとはなんですか?
ウイスキー、ウォッカ、ジン、焼酎、ブランデーなどの蒸留酒、ビール、ワイン、日本酒、シードルのような醸造酒、そのほか世界各国で発酵や蒸留によって作られるお酒はすべてエタノールを含んでいます。エタノールは、アルコール類と呼ばれる化学物質のグループに属しています。酵母の働きで糖質が発酵すると、工タノールと二酸化炭素ができます。

アルコール飲料にはどれくらいのエタノールが含まれているのでしようか?
エタノールの含有量は、糖質の分量によって調整されますが、酵母が死滅する14%ぐらいが上限です(醸造酒の場合)。発酵の際に発生する二酸化炭素は、ビールやシャンパンの泡となります。
お酒を沸騰させてエタノールの含有量を高める「蒸留」という方法は、紀元800年に中近東のジャービル・イブン・ハイヤーンという人によって開発されました。蒸留によってアルコール濃度の高いお酒の生産が可能になったのです。

エタノール以外のアルコール飲料の成分は?
エタノール以外の成分(香味成分と呼ばれます)はアルコール飲料をおいしくする働きをしますが、それと同時にたくさん飲むと頭痛や二日酔いを引き起こすこともあります。香味成分の含有量はさまざまで、赤ワインやブランデーのように色の濃いアルコール飲料には多く含まれています。そのため、色の薄いアルコール飲料よりも二日酔いが起こりやすいのです。

アルコールが私たちに与える影響とは?
香味成分は、アルコール飲料の色や味の性質などを左右しますが、脳に変化を及ぼすのはエタノールです。飲み方や状況がよければ、脳に起こる変化によって、私たちは上機嫌になったり、おしゃべりになったり、リラックスできたり、寝つきがよくなったりします。
お祝いごとや特別行事、そして友人との集まりなどは、アルコール飲料を飲む機会として定着しています。酒類業界は、アルコールのよい点ばかりを強調する宣伝や販売戦術を繰り広げています。
しかしながら、アルコール飲料に含まれるエタノールは私たちの思考や反応を鈍くするほか、イライラ感や、後悔につながる軽はすみな行為の原因にもなるのです。

アルコール飲料のはかり方
単位
一般に、純アルコールを約20g含むアルコール飲料を日単位」と呼びます。日本酒1合には1単位のアルコールが含まれています。下の表は、1単位のアルコールを含む主なお酒の量を示しています。

アルコールの容量濃度(アルコールの度数)
アルコールの強さは容量パーセント(%)、すなわち100mgのアルコール飲料にアルコ一ルが何ml含まれているかであらわします(アルコール度数ともいいます)。一般にワインは8〜14%、日本酒は15〜20%、ウイスキーやブランデーは37〜43%、焼酎は20〜35%、ビールは4.5〜5.5%です(ただし、同じパーセント表示にはなっていますが、ビールだけは、ビール100mlに含まれるアルコールの容量ではなく重量をあらわします)。

1単位のアルコールを含む主なお酒の量

1単位のアルコールを含む主なお酒の量

 

血液中のアルコールの量
血液中のアルコールの濃度は、100mlの血液中のアルコールの量ではかります。これは「mg/100ml」または「mg%」と表記されます。 1mg/mlは0.1%に相当します。

アルコールの強さはどのようにはかるのですか?
アルコールの強さは体積に含まれるアルコールの量ではかり、%V/Vと表記します。以下の円グラフは、よく飲まれるアルコールの一般含有量を表示しています。

アルコールの強さ

アルコールの強さ

アルコールは体にどのような影響を与えるのですか?
通常アルコールは2割が胃で吸収され、残りの大部分が小腸で吸収されて血液中にとり込まれます。空腹の状態でアルコールを飲むと、すみやかに小腸に移行するため、小腸での吸収が早くなり、その結果、酔いやすくなります。おおざっぱに言うと、体重60kgの男性が1単位(純アルコール20g)のお酒を飲んだ場合、血中アルコール濃度は約0.05%になります。女性の場合は男性にくらべて3割も高くなります。この理由はのちほど説明します。
イギリスでは80mg%までは違法とみなされません。このレベルでも、交通事故を引き起こす確率は2倍以上になります。
ある実験で、血液中のアルコール量が50mg%(法定飲酒許容量以下)のバスの運転手に運転をさせたところ、バスの幅よりも狭いところを突っ切ろうとしました。
車を運転する人の血中アルコール濃度で0.03%(0.3mg/ml)以上が検出されると「酒気帯び運転」になります。一般には、次に説明する呼気中アルコール濃度を測定します。しかし低濃度のアルコールでも運転の操作が遅くなるといった悪影響がでることが、科学警察研究所の調査で明らかになっています。もちろん、少しでも飲酒したら車の運転は厳禁です。
血中アルコール濃度が0.31〜0.40%になると、いわゆる泥酔状態で、意識がはっきりしなくなります。そして0.41%以上になると、脳の呼吸中枢が麻痺し、死に至ることもあります。鎮静作用のある薬を併用していると、その危険性はさらに高くなります。

アルコール検知器での測定
人間の呼気中のアルコール量を調べる検査では、1リットルの量の息にアルコールが何mg含まれているかという単位(mg/ℓ)を使います。これはアルコール検知器を使って測定します。
現在、日本では、呼気中アルコールで0.15mg/ℓ以上(血中濃度で0.3mg/dl以上)が検出されると、「酒気帯び運転」となります。
人間の体は、1時間に体重1kgあたりでは約0.1gのアルコールを分解します(体重が60kgの人だと、1単位、つまり純アルコール20gを分解するのに3時間ほどかかることになります)。すなわち、夜にお酒を4単位ぐらい飲んだら、翌朝も運転できない状態が続くということなのです。

過去とくらべてアルコールを飲む量は増えているのでしょうか?

100年前とくらべると、イギリス人のアルコールの量は減っています。当時のジンやビールは値段が安く、ブランデーやワインはたくさん輸入されていたからです。
1914年に当時のイギリス首相であったロイド・ジョージは、軍事産業への悪影響を懸念し、アルコールの販売を減らすよう対処しました。そのため消費量はかなり減り、世界大戦の合間に起きた大恐慌の時代も低い状態が続いたのです。
しかしながら、経済に活気が戻った1950年には再び消費量は上向きになりました。アルコール税が多少の歯止めになったとはいえ、人びとの収入が増えるにしたがってアルコール飲料の消費も増え続けました。
要するに、アルコール飲料は「安い飲みもの」となったのです。
そのため、1965年から2000年のあいだに成人のたしなむアルコール飲料の量は2倍になりました。
近ごろでは飲酒による問題が増え続けています。イギリスでは、アルコールによる肝臓疾患の死亡率が1990年から2000年のあいだに倍になりました。

イギリスでのアルコール摂取レポート
下の2つのグラフはイギリスでの男女におけるアルコール摂取の違いを示しています。左が女性で、右が男性のグラフです。

イギリスでの男女におけるアルコール摂取の違い

イギリスでの男女におけるアルコール摂取の違い

イギリスの若者たちが一度に飲む分量も増えています。ヨーロッパには「ヤング・デインズ」という、泥酔を目的にアルコール飲料を飲む若者の集団も存在します。

日本人の飲酒日1日あたりの飲酒量(20歳以上、性・年齢階級別)

日本人の飲酒日1日あたりの飲酒量(20歳以上、性・年齢階級別)

日本人のアルコール消費量は、終戦直後は純アルコールに換算して1人あたり年間2ℓ以下でしたが、1965年には5.9ℓ、1990年には8.9ℓと大きく増えました。2003年は8.1ℓであり、1990年以降はほぽ横ばいの状態といえるでしょう。純アルコールで8.1ℓが実際のアルコール飲料でどれぐらいになるかというと、たとえば350mlの缶ビールでは約460本に相当します。
アルコールの消費量が増えた背景には、生活習慣の欧米化や、女性の社会進出、お酒の低価格化などがあるとされています。
アルコールの消費量の増加にともなって、アルコール性肝炎や肝硬変など、アルコール性肝障害が増加しています。
また最近では、未成年若の飲酒が目出っており、深刻な問題になっています。それだけでなく、日本が飲酒に寛容な社会であることが災いしでか、飲酒運転による悲惨な事故があとを絶ちません。飲酒運転については、またあとでくわしく説明します。

どのようなことが個人の飲酒週間に影響するのでしょうか?

遺伝
「アルコールの味が嫌い」、「酔っぱらうのがイヤ」という人もいれば、アルコールを無条件に好む人もいます。個人の性格と生まれつきもっている遺伝的要素によってその差がでるのです。
アルコール問題は、しばしば家系的にみられます。つねに深酒をする親のもとで育った子どもが、そのまま親の例にならってしまうのがひとつの理由です。
しかし、遺伝の影響もあります。実の父親や母親がアルコール依存症である子どもは、たとえ別の家族の養子になったとしても、養子先の兄弟よりもアルコール問題を発生する確率が高いのです。
同一の遺伝子をもつ一回性双生児(双子)には、同じような飲酒習慣が生じる傾向があります。アルコールヘの嗜好は、個々の体と脳の化学的な性質によって決まる部分があるからです。双子のうちのひとりにアルコール問題があるとしましょう。その場合、もうひとりはどうなのでしょうか? 同一の遺伝子をもつ一郎性双生児のほうが、遺伝子が兄弟や姉妹と同じ程度にしか似ていな
い二卵性双生児よりも、問題を発生する確率は高くなります。
遺伝は、私たちがアルコールと上手につきあえるかどうかだけでなく、アルコールが問題、つまり依存症を引き起こすかどうかも左右する要因なのです。

社交(人とのつきあい)
アルコールの好きな人は、同じようにアルコールの好きな友人をもつことが多いでしょう。多くの人たちは10代に「自分に合った社交の輪」を築き、のちにそれが変わることはあまりありません。人は社交として楽しくアルコールを飲むことを好みます。それは生活に変化がでるからです。イギリスでは、「飲酒」は「テレビをみること」に続いて2番目の楽しみとされています。健康・体力づくり事業財団カリ996年におこなった調査では、ストレスの解消法をあげてもらったところ、お酒を飲むことは第5位だったということです。男性だけでみると、第2位でした。人は社交として楽しくアルコールを飲むことを好みます。それは生活に変化が出るからです。
新しい職場や結婚も、それまでの生活に変化をもたらします。
配偶者の飲酒習慣が、夫(または妻)に影響を与えることもあります。一郭性双生児(双子)の例をみてみましょう。どちらも未婚のまま暮らしていれば、ふたりは同じようなお酒の飲み方をするでしょう。しかし、片方もしくは両方が結婚すると、その時点からふたりのお酒の飲み方は違ってくるかもしれません。
アルコールの量は、若いころ(18歳から25歳)と比較すると、年齢が高くなるにつれて滅っていく傾向があります。アルコールの消費量は、20代と比較すると、年齢が高くなるにつれて減っていく傾向があります。

Jさんのケース
MさんとJさんは生まれたときからすっと仲のよい一卵性双生児(双子)でした。
同じ大学を卒業したあと、都会で事務職を得たふたりは同居を続けました。選んだ職種は同じでしたが、違う会社で働くことになったのです。
Jさんの上司はとても外交的な性格で、ゴルフ場での社交を楽しむ熱血ゴルファーでした。その彼と結婚したJさんは、独身のような生活をそのまま続ける夫に不満を感じながらも、夫を変えようとするのではなく、自分が夫の社交の場に加わるよう努力したのです。
若いころはアルコールを好まなかったJさんですが、お酒の量はどんどん増えていきます。酒びたりになっていくようにみえるJさんに対して、Mさんは不安を抱かすにはいられません。

職場の環境
職場の環境がアルコールの摂取に影響することもあります。アルコールと接する機会の多い仕事には、建築業界、酒類業界、ホテルやレストラン業界の仕事、出張の多い営業の仕事などがあります。

宗教
宗教のなかには、信仰上の理由からアルコールの制限もしくは禁酒を強く勧めるものがあります。何千年も前の宗教の書物にも、アルコールにまつわる問題が記されているのです。
特定の場合にアルコールを用いる宗教もあります。ユダヤ教徒が家族で祝いごとをするときに飲むワインなどがその例です。アルコールは厳禁とするイスラム教徒ですが、信仰にそむき、ついお酒を飲んでしまう信者がいます。その場合、家庭生活のなかでアルコールの上手な飲み方をいっさい教わってこなかったため、深みにはまってしまうことがあります。
信仰にまっすぐな人は、アルコールのない環境でも、交友関係や社交の場を楽しむことができます。ほとんどの社交的な催しやスポーツ観戦でアルコールが登場する私たちの現在の生活とは対照的といえるでしょう。

苦難を乗り切るための飲酒
アルコールは人間の大好きな薬物のひとつです。人は苦しいことがあると、それに対処するため、もしくはそれを消し去ろうとして、アルコールの力を借りることがしばしばあります。
しかし、「依存」という悪循環にはまり込み、アルコールの量が増えるため、トラブルは倍にふくれあがってしまいます。アルコールヘの依存は大きな問題です。だんだんと量や回数の調節ができなくなり、その状態から抜け出すのがとても難しくなるからです。この点はのちほど説明しましょう。

キーポイント
■親から受け継ぐ遺伝子は、飲酒習慣を左右する要因のひとつです。
■職場の環境が、大量飲酒につながる場合もあります。
■苦難を解決しようとして飲酒すると、逆に問題が2倍に増えてしまいます。

アルコールと健康

体がアルコールを処理するしくみ
アルコールは胃と小腸から吸収され、血管に入って行きます。吸収の速度は変わりますが、空腹時に最も大きくなります。したがって空腹のときにアルコールを飲むと、血液中のアルコール濃度がすばやく最高値まで上がり、酔いが早く回ります。
アルコールの吸収にはどのようなことが影響するのですか?
胃のなかに食べものがあると、アルコールの吸収速度は最大で空腹時の50%まで下がり、血中アルコール濃度の最高値も低くなります。つまり、同じ量のアルコールでも、満腹のときは空腹のときにくらべて、より長い時間体内に残るということでもあります。
ワインやシエU一酒はアルコールの濃度が高いので、ビールよりもすばやく血液に入ります。甘いお酒のなかの糖分はアルコールの吸収を妨げ、その逆に、シャンパンやジン・トニックに含まれている炭酸の泡は吸収を速めます。

アルコールは体のどこに広がるのですか?
アルコールは体中に行きわたり、ほとんどの組織(心臓、脳、筋肉)に血液中と同じ濃度のアルコールが分布します。その一方で、肝臓には多くのアルコールが送りこまれます。脂肪組織は血流が少ないので、アルコールの吸収はほとんどありません。

女性のアルコール処理能力は男性と違いますか?
女性は、男性にくらべて、筋肉や血液が少なく、脂肪が多い体をしています。このことから、男性と同じ体重の女|佳が同量のアルコールを飲んでも、男性にくらべて血液や組織のなかのアルコール濃度が高くなるのがおわかりいただけるでしょう。
また、女性の胃は、男性の胃とくらべて少ない量のアルコールしか分解できません。これらの理由から、女性は一般に男性よりもアルコールに弱いといえるのです。妊娠中の女性がお酒を飲むと、アルコールが胎盤を通じて赤ちゃんの体に入ります。

体がアルコールを処理するしくみ

体がアルコールを処理するしくみ

 

体はどのようにしてアルコールを排出するのですか?
アルコールは肝臓で分解され、アセトアルデヒドという毒性の強い物質に変化します。アルコールが体に及ばす悪影響は、このアセトアルデヒドが原因ではないかと考えられています。アセトアルデヒドは、そのあとすばやく酢酸(アセテート)という無害な物質に変えられます。
肝臓での化学反応は複雑で、たくさんの酵素を必要とします。

酵素は化学反応を補助する役割をはたします。
肝臓がアルコールを処理する速度は、酵素に影響を与える薬によって変化します。そのほか、飲んだアルコールの量、普段飲み慣れている量(酵素が対応し慣れている分量)、または肝臓の健康状態によっても異なります。
大量のアルコールは肝臓にとって毒です。長期にわたるアルコールの過剰摂取から起こる肝硬変などの肝臓病も、肝臓の働きを鈍くします。
肝臓で処理されず、尿や呼吸によって体外に排出されるアルコールはわずか2〜5%に過ぎません。息から検出されるアルコール濃度は低いのですが、血中の濃度を正確に反映しています。これがアルコール検知器の基礎となっています。

アルコールに強い人と弱い人がいるのはなぜですか?

人が吸収できるアルコールの量は、食事の有無も含めて、いろいろな要因に左右されます。

体の大きさ
前にも説明したように、同じ量のアルコールを飲んでも、女性では男性よりも一般に血中の濃度が高くなります。また、体が大きい人ほど、酔わずに飲むことができます。

アルコールヘの耐性
アルコールを飲み慣れている人の肝臓の酵素は、より効率的にアルコールを処理できるようになります。生まれてはじめてアルコールを口にする人よりも少し速く処理できるのはそのためです。それゆえ、体も小さく、飲酒の経験がない子どもはアルコールに対して非常に敏感です。日本には、アセトアルデヒドを分解する酵素の働きの弱い人が約半数います。この酵素がまったくない人もいます。つまりそのような人は、お酒を受けつけない体質ということです。一方、欧米人には、そのような人はほとんどいません。そのため、日本人には欧米人にくらべてお酒に弱い人が多くいるのです。
頻繁にアルコールを飲む人が、なかなか酔わすに飲むことができるのは、脳の細胞がそのように調節するからです。これがアルコールヘの耐性であり、アルコール依存症への第一段階といえるでしょう。
耐性はだんだん弱くなります。ですから、大酒飲みが数週間アルコールをがまんしたあと、禁酒前と同じように飲酒すると、酔いは早く回ります。

アルコールは体にどのような影響を及ぼすのですか?
心臓と血液の循環
アルコールは心拍数を上げ、皮膚の毛細血管を広げ、ほてりを生じます。重度のほてりは中国系や日系の人によくみられます。ほてりは暖かさを感じさせますが、実際には皮膚から逃げる熱のために体の温度が下がっていることがあります。そのため、雪山で助けに来てくれた救助犬セントバーナードが首に釣り下げている樽のブランデーを飲んで、救助される人が低体温症になってしまうこともありうるのです。

腹部の臓器
アルコールは胃酸の分泌に刺激を与えるため、胃の内壁に炎症を起こすことがあります。また利尿効果もあるので、尿の量が増えます。


以上のようにアルコールは体にさまざまな影響を及ぼしますが、多くの人は、アルコールが脳に与える影響を求めてアルコールを飲みます。アルコールの血中濃度が0.05%くらいのときが、最も緊張がほぐれ、開放感にひたれます。
血液中のアルコール濃度が高くなるほど、脳への影響は大きくなります。ろれつが回らなくなったり、記憶が薄れたり、目の焦点が合わなくなったりします。
血中濃度が0.1%まで達すると、動作は軽率でぎこちなくなり、感情のコントロールや判断力が乱れてきます。アルコールのせいで、抑制がはすれて気が大きくなったりします。
血中濃度が0.3%を超えると、ほとんどの人は泥酔状態になり、意識を失うこともあります。アルコールの致死量というのは個人によって差があります。飲み惘れている人が普段に飲む量が、はじめてアルコールを口にする若い女性を死に至らしめることもあるのです。
アルコールの血中濃度が頂点から下がりはじめると、人によっては疲労や抑うつ感、イライラを感じます。

アルコールによる急性の影響

同じ量のアルコールを飲んだとき、女性のほうが男性にくらべて血液中のアルコール濃度が高くなります。そして一般に、体の大きい人ほど、酔わすに飲むことができるといわれています。以下は、アルコールによる急性の影響です。
・心拍数が上昇する
・皮膚の血管が膨張する
・胃液の分泌を刺激する
・大量に飲酒すると胃の内壁に炎症が起こる
・利尿作用のため、尿が増える
・話し方が不明瞭になる
・記憶があいまいになる
・目の焦点が合わなくなる
・動きや運動の協調性がおかしくなる(まっすぐに歩けないなど)
・感情が抑えられなくなり判断力が鈍る
・大量のアルコールを飲むと、意識を失い、嘔吐による窒息の危険性が増す
・大量のアルコールを飲むと、脳の呼吸中枢が麻痺する

二日酔いはどうして起こるのですか?
アルコール飲料には、吐き気、頭痛、震え、疲労感など、二日酔いの症状を引き起こす成分が含まれています。脱水症状が二日酔いを悪化させる可能性もありますので、十分に水分と一緒にアルコール飲料を飲めば、症状を軽くできるかもしれません。
夜中にアルコールの血中濃度が低下すると、その反動で眠れなくなり、酔いがさめることによって神経や不安が高ぶることかあります。「2種類以上のお酒を飲むと二日酔いを起こす」、それゆえ「1種類のお酒だけ飲んでいれば二日酔いにならない」と誤解している人が多いようです。しかしそれはまちがいで、酔いの程度を決定するのはアルコールの量です。違う種類のお酒を口にすると大里のアルコールが体に入り、それが翌日の頭痛を悪化させるため、ついそう思ってしまうのでしょう。

アルコールの害
アルコールが関連する事故や犯罪の統計は、アルコールの害を物語っています。主な事故で、アルコールが原因となっている割合は以下のようになっています(イギリスの資料):
・火事による死亡の80%
・深刻な頭部のケガの65%
・殺人事件の50%
・交通事故の40%
・家庭での事故の30%

大量のアルコールが引き起こす障害

急性の問題
大量のアルコールは、脳内の呼吸をコントロールする呼吸中枢を麻痺させ、人を死に至らしめることもあります。飲んだアルコールが直接の死因ではなくても、深い昏睡状態に陥ると、屋外で放置されたり、嘔吐物が喉につまって窒息や呼吸困難が起こったりして、死亡の原因となるのです。
そのほか、脱水症状や血糖値の低下も起こります。高齢者ではこれは危険なことであり、とくに糖尿病の治療を受けている人は気をつけなければなりません。

事故
飲酒した人が病院の門をくぐる理由で最も多いのは、酔っぱらってケガをしてしまうことです。酔った人は、自分目身にも周りにも危険を及ばします。
アルコールは、路上・鉄道・航海・航空事故の発生原因のひとつでもあります。たとえばイギリスでは、飛行機事故で命を落とす個人パイロットの1/3において、血液中にアルコールが含まれています。
それに、アルコールを大量に飲む人の職場での事故率は、そうでない人とくらべると3倍にもなり、およそ6割の死亡事故はアルコールに関連しているとのことです。
また、人はアルコールによって危険に導かれ、性犯罪や暴行など、犯罪の道に走りやすくなってしまうのです。

アルコールによって胃の内壁が刺激されると食欲が落ちます。ひどいときには、痛みや吐き気、出血なども起こります。

火事による死亡の80%はアルコールの使用に関連しています
(イギリスの資料)。

大量のアルコールが引き起こす長期的な問題

多量飲酒とは、1日に平均純アルコールで約60g以上を飲むことをいいます。
日本人でお酒を飲む男性を対象とした研究によると、平均で2日に1単位(アルコールで20g、日本酒に換算すると約1合)のお酒を飲んでいる人たちが、最も死亡率が低かったという調査結果があります。一方女性では、その量は1日あたり9gです。
そして、1日のアルコール摂取量が増えると死亡率が上昇することが示されています。外国でも、女性を含めて似たような結果がでています。このような研究や現状を踏まえ、日本の政府は、健康のために1日の飲酒量を1単位までにすることを推奨しています。前述のようにこの量には男女差があるだけでなく、個人差(アルコールの代謝能力など)がある、65歳以上の高齢者においてはより少ない量が適当である、飲酒習慣のない人は無理に飲む必要はない、といったことも覚えておきましょう。

心臓と血液循環
40代に入ると、体質によっては心臓病が顔をだしてくることがあります。そのような人にとって、1日に0,5〜1.5単位のアルコールを飲むことが心臓発作や狭心症を予防してくれることもあります。
一方、1日に5単位以上のアルコールを飲む人に起こるタイプの心臓病もあります。心筋が傷つき、息切れや動悸(心臓の拍動を自分で感じること)が起こったり、足首が腫れたり、肺に水がたまったりします。
また、アルコールは血圧を上げるため、脳卒中を引き起こすこともあります。血圧の高い人がアルコールをひかえたほうがよいのはこの理由からです。

消化器官
アルコールによって胃の内壁が荒れると食欲が落ちます。ひどいときには、痛みや嘔吐、出血なども起こります。
膵臓(すいぞう)は胃のすぐ後ろに位置する臓器で、胃と同じように、アルコールには敏感です。膵臓の細胞が炎症を起こすと激しく痛みます。膵臓の損傷が続くと、インスリンが十分に分泌されなくなり、糖尿病になります。また、食べものを分解する酵素が正常に作られず、下痢や栄養失調になることもあります。

肝臓(アルコール性肝障害)

肝臓の病気は、わかりにくいことが多くあります。かかりつけの医師がおこなう血液検査では、アルコールにより肝機能が衰えていることが示されても、自覚症状は何年もてないことがあるからです。そして、ついに症状がでたときにはもう手遅れということになりかねません。
アルコールは肝臓の機能に大きな問題を引き起こします。最初は軽度ですが、アルコールの摂取が続くうちにだんだんと深刻になります。

・脂肪の蓄積(脂肪肝)によって軽い症状が現れます
・肝炎や黄疸は、より深刻な症状です
・肝硬変は命にかかわることがあります

障害が軽度の場合、肝臓に脂肪がたまり、肝細胞がふくらみます。肝臓の肥大にともなって、腹部のばくぜんとした不快感や吐き気が起こります。
深刻な場合は、アルコール性肝炎が発症します。この時点では、肝臓の細胞は炎症を起こし破壊されています。ときたま自覚症状がでない人もいますが、ほとんどの人は気分の悪さやだるさを訴えますし、黄疸(おうだん)がでることもあります。
黄疸とは、皮膚が黄色に変色することです。黄疸は、ビリルビンという物質が血液中に増加し、それが皮膚にたまることによって起こります。肝臓の役割のひとつがビリルビンの量の調節ですが、肝臓の機能が衰えるにつれて調節ができなくなり、ビリルビンが血液中で増加してしまうのです。
アルコールによる障害が最後の段階まで来ると肝硬変になります。障害が進んでもはや肝臓がもとの状態に戻らなくなるのです。
肝臓の細胞は破壊され、瘢痕(はんこん)化します。肝臓の働きは悪化し、筋肉を保持するのに必要なたんぱく質も生成されません。
肝硬変を患う人は、たいてい黄疸がでます。お腹に水がたまったり(腹水)、足や足先がむくんだりする(浮腫)こともよくあります。
肝組織の傷や変形のために肝臓への血流が阻止されると、血液が逆流し、回と食道で静脈瘤がふくれあがります。そのような静脈瘤は破裂して、大量の出血をまねくことかあります。
肝硬変はいずれ命取りになります。肝硬変の唯一の根本的な治療法は肝臓の移植しかありません。臓器の提供者が足りないため、アルコールを完全にやめるという条件を承諾しないアルコール常飲患者には、移植が勧められないケースもあります。
肝硬変が最悪の段階まで至っていないときは、禁酒によって病気の進行をおさえ、ある程度快適な暮らしを続けることも可能でしょう。C型肝炎ウイルスを保持している人は、肝硬変にならないためにも、アルコールをやめることが大切です。C型肝炎ウイルスに感染しても、自覚症状がないために、本人も気づいていないケースが多くあります。C型肝炎ウイルスに感染すると、その約7割の人が持続感染者(ウイルスを体にもち続けること、キャリアとも呼びます)になります。日本ではキャリアが150万人以上いるとされています。

がん
アルコールは、口のなか、喉、そして食道にがんを発症させることもあります。タバコを吸う人では、その確率が上がります。
女性の場合、アルコールの摂取は乳がんの発生率にも影響します。全国的な調査によると、1日に15g以上のアルコール(日本酒で0.6合)を飲んでいる女性は、飲まない女性にくらべて2.9倍乳がんになりやすかったとのことです。なおビールの350m9缶には約14gのアルコールが含まれています。

脳と神経
アルコールをたくさん飲む大は精神機能が落ちてきます。たとえば、新しいことや最近のできごとを覚えていられなくなるのです。老化現象が加速されたようなものともいえます。
バランス感覚を失ったり、手足がびりびりしびれたりするというように、感覚がおかしくなってしまうケースもあります。アルコールが原因で起こる筋肉の衰えも加わると、歩くのが困難になります。
アルコールを飲む大のなかには食事の栄養バランスが偏り、ビタミン不足が問題になることがあります。アルコールは、食べものからのビタミンの吸収を妨げます。大量のアルコールを飲む人にとって、ビタミンB1(チアミン)の不足は脳と神経に損傷を与える原因となります。

血液
アルコ一ルは血球にも変化をもたらします。たまたま受けた血液検査の結果から、アルコールが原因の異常値が見つかることもあります。

医師は、肝機能を判断するため、血液検査を受けてくださいと指示することがあります。

頻繁にアルコールを飲む人は、赤血球が大きくなっているかもしれません。それ自体は危険なことではありませんが、血小板の不足は胃や脳での出血を引き起こす可能性があります。
肝臓に関しては、症状が現れるよりもすっと前に、血液検査で肝機能に異常値がでます。深刻な病気なのかどうかについては、医師から説明があるでしょう。ガンマ・グルタミル・トランスペプチターゼ(y -glutamyl transpeptidase,y-GTP)は肝機能を検査するもので、アルコ一ルに対して非常に敏感に反応するという特徴があります。

アルコールの量を減らそうと考えている人は、この数値の定期的な検査を医師に頼んでみるとよいでしょう。この検査の結果によって、きちんとアルコールを減らしているか、そうでないかの判断がつきます。したがって、定期的にy-GTPを検査すると、お酒をきちんとひかえているかどうかの判断がつきます。
最近になって、従来の検査法にくらべてお酒の飲みすぎや飲酒量の変化がより正確に把握できる糖鎖欠損トランスフェリン(Carbohydrate deficienttransferrin. CDT)という新しい検査項目も登場し、欧米ではよく使われています。

精神疾患

精神疾患はアルコールによって起こることもあります。脳の化学的な状態に変化が生じ、抑うつ状態になるのです。これは家族や友人との大切な関係を乱す原因となります。
アルコールが嫉妬妄想を引き起こすことがあります。そのため、配偶者や恋人が浮気をしているのではないかと根拠のない疑惑を抱き、アルコールが火に油を注ぐ形で見当違いの大騒ぎを起こしてしまわないともかぎりません。
幸いにして症例としては少ないのですが、アルコールによる別の病気もあり、脳がひどく損傷を受け、数週間から数か月にわたって幻覚が生じることがあります。自分を脅したり非難したりする恐ろしい「声」が聞こえる場合もあります。これはほとんどの場合、医師の診察を受け、アルコールをやめれば直ります。


アルコールを大里に飲む人は、頬や目に毛細血管が浮き出し赤くシミだらけなので、顔をみるだけでわかります。赤く腫れた鼻は、15年も酒びたりになってきた事実を物語っているのです。乾癬(かんせん)という皮膚の病気があります。赤い斑点ができ、表面が白くかさかさになり、再発を繰り返すという特徴があります。お酒の飲みすぎによって、乾癬が悪化することがあります。

体重
アルコールは、ビタミン抜きのカロリーです。1杯のワインや約850mlのラガービールには、バターをめった厚切りのトーストと同じ量のカロリーが含まれています。1単位に相当するアルコール飲料でいえば、日本酒1合は約190kcal、ビール大瓶1本は約250kcal、ウイスキーのダブル1杯は160kcalですので、茶わん1杯ぶんのご飯(軽く1杯で160kcal)、あるいはそれよりも多くのカロリーが含まれています。ですから、アルコールは体重を増やすのです。
グラスに1杯のシェリー酒のような食前酒は食欲を増進しますが、空腹の状態で大量に飲むと、胃の内壁を刺激して吐き気を催すことがあります。アルコールを欲んでいても体重の減る人や、いつも脱力感や疲労感を訴える人がいるのはこのためです。

アルコールの健康への効用

アルコールのすべてが悪いということは必すしもありません。ほどほどの量を飲むと健康に役立つ場合もあります。

社交の楽しみ
老人ホームなどで「カクテルアワー(お酒の集い)」を催すと、みなさんの動きや記憶がよくなり、会話がはすむようになります。
「睡眠薬をください」という要望が減ることもあります。少しのアルコールが、生活を華やかに感じさせてくれるのです。

心臓病
ほどほどのアルコール(1日に0.5〜1.5単位ほど)を飲む人は、まったく飲まない人にくらべて心臓病になる危険性が低いという医学研究の報告があります。こうした効果は、年齢が40歳を越す人、そして食事と一緒にアルコールを飲む人に最もよくみられるということです。
アルコールは、動脈に生じる血栓(血のかたまり)も予防します。日本や欧米諸国では心臓病は主な死因のひとつですが、日本人では男女ともに死因の第2位です。ほどほどのアルコールを飲む人は、飲みすぎる人やまったく飲まない人にくらべると長生きをする傾向があります。もちろん、ほかにも生活習慣を変えて、心臓病の予防をすることも可能です。たとえば、タバコをやめる、体重を減らす、動物性脂肪の摂取を減らして果物や野菜をたくさん食べる、運動をする、などが予防法としてあげられます。
やりがいのある仕事を見つけるのもよい効果があります。1日に適量(0.5〜1.5単位)のアルコールを飲む人は仕事に満足していることが多く、食事の内容にも気を配っていることが多いという調査報告があります。その人たちの健康状態がよいのは、そのあたりからきているのかもしれません。
日本人についていえば、政府は、健康を保つために酒はほどほど、すなわち1日に1単位程度(日本酒1合程度)にするよう呼びかけています。—方イギリス政府は、健康保持のためとしてはアルコールを推奨していません。もし「1〜2杯ならいいですよ」といってしまうと、「それじゃあ、3杯、4杯、もっと多いほうがいいじゃないか!」という声がでることを予測してのためです。


少々のアルコールを飲む中高年の女性は、まったく飲まない女性よりも骨が強いようです。しかし大量に飲酒すると、逆に骨がもろくなり、骨折の原因となることもあります。何ごとも適量でおさえることが大切なのです。

性交
アルコールは性生活を向上させるでしょうか? 人によっては性欲増進の効果があるようです。緊張のために性交が楽しめないような場合には、アルコールを飲んでリラックスするのはよいことでしょう。
しかし、大量のアルコールは性交渉に必要な神経を遮断しますので、男性では勃起不全(男性機能障害)が起こる恐れがあります。もし勃起不全が数回起これば、自分の性力に不安を感じるでしょう。そして、その不安がますます勃起を不可能にし、理解のあるパートナーによって自信を回復するまでその状態は続いてしまいます。

飲酒量の安全な上限はありますか?

女性にとって、1日3単位以上のアルコールは肝臓病や乳がんにかかる確率を増やします。それに対して抵抗力の強い人もいますが、現時点では、どの人がそうだという選別はできません。
男性の肝臓は、女性の肝臓よりも少し抵抗力がありますが、それでも1日5単位(週に35単位)を飲み続けると、問題が生じてきます。安全な1日のアルコールの量は、男性では3単位、女性では2単位でしょう。
「アルコールはときどき飲みます」という人は、1度に飲む量を8単位(女性では5単位)におさえてください。そうすれば泥酔の危険を回避できます。最近の報道では「ムチャ飲み」のことがよく話題になっています。
日本人の男性では、1日に日本酒を3.5合飲み続けると、肝臓に重い障害がでる可能性が高いとされ、1日に5合以上のお酒を10〜15年飲み続けると、肝硬変になりやすいといわれています。
日本でおこなわれた調査によると、アルコール依存症の人は、肝硬変、心臓病、事故、自殺による死亡が多いとのことです。アルコール依存症の人の平均寿命は、50〜52歳という報告もあり、日本人の平均寿命(2005年では男性78歳、女性85歳)を大きく下回ります。
その一方でアルコールには健康に対するよい効果もあるので、日本人については、1日にお酒を約1単位(日本酒約1合)まで、すなわち純アルコールで約20gというのが「節度ある適度な飲酒」とされています。
短時間のうちに多量のアルコールを摂取すると急性アルコール中毒になる危険性があります。そのため、1度に飲むアルコールの量は、その日の体調も踏まえて考えましょう。急性アルコール中毒は、ここ数年は減少傾向ですが、2005年には東京都だけで約13,500人もが救急車で病院に運ばれています。
女性では男性にくらべて少ない量で、かつ短期間で肝障害が生じることがわかっています。それに前のほうにも書きましたが、1日に15g以上のアルコール(日本酒で0.6合)を飲んでいる女性は乳がんになりやすかったという調査報告もあります。ですから女性が飲酒する場合、男性よりも少ない量にとどめるべきでしょう。

妊娠
アルコールは遺伝子を傷つけ、お腹の赤ちゃんの発達異常につながることがあります。胎児に問題がある場合、その多くが流産に至りますが、大量のアルコールを飲む妊婦さんは、そうでない妊婦さんの2倍の確率で流産してしまいます。
妊娠中の母親がたくさんのアルコールを飲んだ場合、赤ちゃんが「胎児性アルコール症候群」になる危険性が増します。「胎児性アルコール症候群」の赤ちゃんは、知能障害や、顔の奇形、神経系・心臓・骨・腎臓の異常など、さまざまな障害をもって生まれてきます。
妊娠している人は完全にアルコールをやめるか、ほんのときどきという程度にしておくことを勧めます。胎児性アルコール症候群は、お酒を飲まなければ予防できます。妊娠している、または妊娠を予定している女性は、禁酒を徹底しましょう。とくに妊娠の初期に飲むアルコ一ルは影響が大きいのです。
アルコールは母乳のなかからも検出されますが、授乳の前にちょこっと飲んだという程度でしたら悪影響はありません。また、赤ちゃんは母乳を通じてアルコールを飲んでしまうことになるので、授乳期もお酒はやめておきましょう。

アルコールと薬

薬に対するアルコールの影響は、その薬の種類によります。アルコールを1度にたくさん飲んだのか、普段から飲んでいるのかなども関係します。
ます可能性があるのは、アルコールと薬が肝臓の酵素をめぐって競合するケースです。すなわち、肝臓の酵素がアルコールを分解するために使われ、薬の分解がゆっくりになるため、結果的に薬の効きめが強く、長くでることになります。これは薬を飲みすぎたことと同じことですので、非常に危険です。この例にあてはまる薬を次ページの表にあげてあります。
薬を服用している人がアルコールを飲むと危険なケースで最も多いのは、鎮静作用が少しでもある薬を飲んでいる場合です。アルコールのもつ鎮静作用が薬の鎮静作用と重なって強く現れてしまい、事故につながることがあるからです。鎮静作用をもつ薬には、精神安定剤、抗うつ剤、抗ヒスタミン剤、睡眠薬などがあります。
長期にわたって大量のアルコールを飲み続けていると、肝臓の酵素の働きが速くなります(働き慣れて、アルコールを多く処理できるようになるのです)。すると薬によっては同じようにすばやく処理され、通常よりも効かなくなってしまいます。そんなときは、医師に薬を増量してもらわなければならないこともあります。この例にあてはまる薬を前ページの表にあげました。
薬のなかには、アルコールと相互作用すると不快な顔のほてりを生じるものもあります。たとえば、糖尿病の薬クロルプロパミド(アベマイド[小林化工Dや抗菌剤のメトロニダゾール(フラジール[塩野義Dなどがあげられます。

これらの薬を服用している場合、飲酒は危険です(一般名の次にカッコで商品名[製造社名]を示しています)
・ベンゾジアゼピン系精神安定剤(抗不安薬):ロラゼパム(ワイパックス[ワイスD、ジアゼパム(セルシン[武田薬品Dなど
●抗精神病薬:オランザピン(ジプレキサ[リリーD、リスペリドン(リスパダール[ヤンセンD、スルピリド(ドグマチール[アステラスD、クロルプロマジン(ウインタミン[塩野義]、コントミン[三菱ウェルファーマD
・多くの抗うつ剤:ドスレピン(プロチアデン[科研D、アミトリプチリン(トリプタノール[万有D、ミルタザピン(日本末認証)、トラゾドン(レスリン[オルガノン]、デジレル[ファイザーD、クロミプラミン(アナフラニール[アルフレッサ])
●睡眠薬
●ほとんどの抗ヒスタミン剤
・抗てんかん剤:フェニトイン(アレビアチン[大日本住友D、フェノバルビタール(フェノバール[藤永D
・抗凝固剤(血液を固まりにくくする薬):ワルファリン(ワーファリン[エーザイ])

アルコールは薬の効果を妨げることがあります
大量のアルコールをいつも飲んでいると、肝臓はより多くのアルコールを処理しようと必死に働きます。そのため、薬まで手早く処理してしまい、その効果が薄れてしまいます。以下の薬はその例です。
・てんかんの治療薬
・一部の抗生物質
・一部の血圧降下剤
・一部の抗うつ剤

キーポイント
■空っぽの胃に入ったアルコールは、一気に脳まで達してしまいます。
■1日に0.5〜1.5単位のアルコールを飲むことは心臓病の予防になりますが、それ以上の量は健康に害を及ぼします。
■1単位のアルコール飲料には、茶わん1杯以上のカロリーが含まれています。■アルコールは口腔がんや食道がんの原因になります。

 

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